サイエントロジーの批判者:脚本家・監督 ポール・ハギス

画像引用元:http://www.telegraph.co.uk

 

アメリカ人の脚本家・監督であるポール・ハギスは、「ミリオンダラー・ベイビー」や「クラッシュ」などのハリウッド映画でよく知られています。

1975年、21歳のポール・ハギスは、ロンドンの街角である男性から書籍『ダイアネティックス』を紹介されたのをきっかけに、サイエントロジー教会に足を踏み入れることになりました。

実は、ハギスはその数か月前に、友人からサイエントロジー教会について聞かされていました。それに興味を持った彼は、教会についてのドキュメンタリー・フィルムを撮れないかと考えていたそうです。

当時のハギスは無神論者であったため、宗教に参加することをためらいました。

『ダイアネティックス』を手渡した男性は、そんなハギスに、L. ロン ハバードの以下の引用を示しました。

真実とは、あなたにとって真実であるもののことです。あなたにデータを押し付けて、それを信じないとひどい目にあうぞ、などという権利を持つ人などいません。あなたにとって真実でないのであれば、それは真実ではありません。・・・

L. ロン ハバード

 

ハギスはこの言葉に共感し、サイエントロジーの基本的なサービスを開始しました。

そこから、サイエントロジーの完全なる自由への道、「ブリッジ」を上り、1967年に「クリアーの状態」を達成します。

もちろん、ハギスはそこで足を止めることなく、ブリッジを進み続けましたが、2009年にサイエントロジー教会に公然と別れを告げました。

 

何が起こったのでしょうか?

 

その年、サイエントロジーのサンディエゴ教会は、カリフォルニア州で、同性婚を禁じた提案8号(Prop 8)を支持しました。2人のレズビアンの娘を持つハギスは、「グループの公民権を奪う法案を指示する」グループの一員ではいられないと、教会からの離脱を表明しました。

(ちなみに、2010年8月4日、「提案8号」を違憲とする判決が下されました。現在はカリフォルニア州で同性婚は可能となっています。)

 

ハギスはまた、サイエントロジーで実践される『関係を断ち切る(disconnection)』という行為を強く批判しました。

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「関係を断ち切ること」とは?

サイエントロジーを実践している人の身近に、サイエントロジーに対して敵対的な友人や家族がいた場合、その人はサイエントロジーの技術から期待された成果を得られず、病気になったり、トラブルに見舞われると言われています。

敵対や抑圧によって、不安定な状況になった人のことを、サイエントロジー用語で「潜在的なトラブルの源(Potential Trouble Source)」、略してPTSと呼びます。

PTS状態に対する解決策として、「対処する」か「関係を断ち切る」かどちらかを選ぶ必要があります。

「対処する」とは、コミュニケーションによって、知人の敵対をおさめる方法です。

しかし、対処しても敵対が収まらない場合、その人は知人と「関係を断ち切る」ことを勧められます。基本的に、家族と関係を断ち切ることは推奨はされないのですが、最終的な解決策としてこれが用いられることはあります。[/ip5_coloredbox]

 

参照文献:ローレンス・ライト著『Going Clear: Scientology, Hollywood, & the Prison of Belief』