こんにちは。
ブログの管理人である脱サイエントロジー・サポーターのヒカリです。
このブログは、すでにサイエントロジーに参加している方に、サイエントロジー宗教から脱退する方法をアドバイスする目的で運営しています。
しかし、最近は、「親しい人がサイエントロジーに参加したけれど、どうしたらいいですか」といったご質問もいただきます。今回は、先日お問い合わせのあった、「サイエントロジー・シーオーグ」についてご説明しようと思います。
サイエントロジー・シーオーグとは何なのか?
サイエントロジーのシー・オーガニゼーション(シーオーグ)とは、サイエントロジーの創設者であるL.ロン ハバードに、永遠の忠誠を誓う、軍隊のような規律に縛られた宗教組織です。
とは言っても、「シーオーグ」という法人組織があるわけではありません。シーオーグのメンバーは、世界中のサイエントロジーの組織に配属されています。
特に、サイエントロジーの上級組織は、シーオーグ・メンバーに任されています。
シーオーグの契約:ビリオンイヤーコントラクト(10億年契約)
東京にあるサイエントロジー教会は、「クラスVオーグ」といって、クリアーまでのサービスを提供しています。
クラスVオーグのメンバーは、2.5年か5年の契約に基づいて働きます。
一方、東京オーグよりも上級のサービスを提供するシドニーの「アドバンスド・オーグ・セントヒル(AOSH)ANZO」」は、シーオーグ・メンバーによって運営されています。
また、東京オーグを含む、アジア・オセアニア地域にあるオーグやミッションに運営の指示を与えているシドニーの「コンチネンタル・リエゾン・オフィス(CLO)ANZO」もまたシーオーグメンバーによって運営されています。
シーオーグメンバーの契約は、「10億年」です。十年の間違いではありません。
この人生が終わっても、その後も生まれ変わってシーオーグ・メンバーとして創設者のL.ロン ハバードの意思をついで貢献する、という意味なのです。
参加する際に、10億年間奉仕します、という契約書に署名します。
↓これがシーオーグの10億年契約書です。
シーオーグの起源
シーオーグは1967年にL. ロン ハバードによって結成された宗教的な団体でした。当時は小型船体で地中海を航海していました。
こちらは、シーオーグメンバーを募集するポスターですが、宗教団体のメンバーというよりも軍人のように見えます。
L. ロン ハバード自身が、若いころから船を愛し、また海軍に所属していたこともあるため、このような組織を編成したのかもしれません。
当時の状況に関して簡単に述べると、もともとアメリカでサイエントロジーの組織を運営していたハバードは、1959年にイギリスのイーストグリンステッドにある「セントヒル荘」という大邸宅を購入しました。
彼はそのセントヒル荘でサイエントロジーのトレーニングとオーディティングを提供し、そして世界のあちこちにあるサイエントロジー組織を運営していました。
しかし、その一方で、1960年代半ば、サイエントロジーは政府によってさまざまな調査の対象となっていました。
(政府による調査については、教会の公式書籍である『サイエントロジーのエシックス入門』でも触れられています。)
そのような状況下で、ハバードは、1966年に小型船団を手に入れます。
1967年、彼は執行役員の職を辞し、自身を船隊の「准将(コモドアー)」として任命し、地中海の航海に乗り出しました。
L. ロン ハバードがシーオーグを結成して公海を旅していたのは、政府の追及を逃れるためであったという説もあります。
さて、1975年にハバードは、フロリダ州クリアウォーターの「フォートハリソン・ホテル」を購入して、シーオーグ・メンバーは陸に上がりましたが、その後も、伝統的な名称が保持されています。
シーオーグのスケジュール
シーオーグ・メンバーの仕事のスケジュールは、朝9:00から夜12:00過ぎまでです。(オーグによって違いはあるかもしれませんが、一日14時間以上は働いています。)
休みは基本的に、2週間に1度、よい成果を上げたと申請しなければ取ることはできません。
シーオーグの生活・収入
基本的に、シーオーグ・メンバーは集団生活をしており、衣食住を保証されている代わりに、週の給料は1万円、あるいはそれ以下しかもらえません。(これらの給料は、サービスオーグの収入に依存するため、給料がほとんどなかったり出ない時もあります。)
結婚すれば個室に入ることができますが、そうでなければ、男女別れた大部屋(4名~10人以上)で暮らします。
シーオーグの規律と懲罰
シーオーグ・メンバーは、厳格な規律に従うよう求められます。
一例ですが、シーオーグでは、男女関係の乱れに厳しく、正式に結婚していない男女が性的な関係を持つと、重い懲罰が課されます。
肉体労働からRPFまで
懲罰にはいくつか段階がありますが、軽いものであれば、「ビルジ(bilge)」と呼ばれる肉体労働があります。
ビルジ」というのは、船底にたまった汚水のことをいいます。シーオーグが船上で活動していた時は、規律を守れないメンバーは、船底に送られ、そこでどろどろの汚水の汲みだしや清掃をさせられたことから、現在でも、懲罰的肉体労働を「ビルジ」と呼びます。
ビルジの例は、真夜中のドブ掃除や庭のみぞ掘りなどです。
シーオーグの船上では、「船外へ落とす(overboading)」と呼ばれる懲罰が与えられていました。当時は、規律に違反したメンバーは、港で船の上から海に突き落とされました。
L. ロン ハバードは、FLAG ORDER 1499「人々を船外へ投げ落とすこと(Overboard, Throwing people)」という発行物の中で、この懲罰の厳しさの段階について述べています。
船外へ投げ落とされる懲罰には以下の段階が存在する。
(a) 船外へ投げ落される(b) 船外へ2度投げ落とされる(c) 目隠しをされて船外へ投げ落とされる(d) 脚を蝶結びで結ばれた状態で船外へ投げ落とされる—L. ロン ハバード
この慣例は、陸に上がってからも実践されていました。海がない場所では、懲罰対象となったメンバーに、バケツで水がかけられたり、庭に掘られた池に服を着たまま突き落とされたりしました。
シーオーグにおけるかなり重い処分に、「リハビリテーション・プロジェクト・フォース(略して「RPF」)」と呼ばれるプログラムが存在します。
期待された倫理的な規範や経営方針に対する違反があったシーオーグメンバーは、職務から外され、「RPF」というプログラムを実行させられます。
例えば、「婚前交渉を行った」とか、「売り上げの金額をごまかした」などが、RPFの原因になります。
RPFのメンバーは、主に肉体労働をさせられます。そして、ハバードの著作の勉強をしたり、「邪悪な意図」を除去するための「偽りの目的のランダウン」というオーディティングを受けます。
RPFのメンバーは、灰色や黒いユニフォームを着せられ、他のシーオーグ・メンバーに口を聞くことを許されません。RPFを終了するには、数年間掛かることも珍しくありません。
シーオーグ・メンバーと堕胎
シーオーグメンバーは、子供を作ることは許されません。その理由は、この惑星の状態が悪化しているため、個人の家庭生活を犠牲にしてでもシーオーグの活動に献身しなければならないからです。
妊娠したシーオーグの女性は、子供を中絶するようにアドバイスされました。
あるいは、宗教的な裁判(コミッティー・オブ・エビデンス)が行われ、「中絶手術」を受けるようにという判決が下されたこともあったそうです。
私がシーオーグにいた2010年の段階では、この「シーオーグの中絶命令」というのがマスコミで悪名高くなってしまったため、オーグ内で積極的に中絶が勧められることはなくなったようです。
ただ、子供がいてはシーオーグにはいられないので、妊娠した夫婦は、シーオーグを辞めなくてはなりません。
シーオーグは辞めることができるのか?
シーオーグ・メンバーは10億年契約をしますが、辞めることも可能です。辞める方法についてはこちらの記事をご覧ください。→ 日本人シーオーグメンバーのための「シーオーグの辞め方」
シーオーグを辞めた場合、自分がスタッフとして無料で受けたオーディティングやトレーニングの代金を請求されます。この請求は「フリーローダ―・ビル(Freeloader Bill)と呼ばれ、数十万円あるいは数百万円に上ることも珍しくありません。ただし、実際には法律的な強制力はなく、請求書が送られてきても無視すればよいだけですが。
シーオーグを辞めた人間は、「堕落した存在(Degraded Being)」と呼ばれ、軽蔑の対象となります。
シーオーグ・メンバーに対する情報操作
シーオーグ・メンバーが、サイエントロジーにとって都合の悪い情報を見ない様に、組織内では情報操作が行われています。
具体的には、「インターネットのアクセスに対する制限」と「メールや手紙の検閲」がなされます。
インターネットのアクセスに対する制限
インターネット上には、このブログのように、サイエントロジーの秘密を暴いたり、批判したりするサイトが少なくありません。
そのため、通常の職務についているシーオーグ・メンバーは、インターネットに接触しない様に、個人的なコンピュータなどを持つことができません。
パブリック(スタッフではないサイエントロジスト、顧客のこと)相手にセールスなどを行うメンバーはその限りではありません。スマホや個人のノートパソコンを利用することもあります。
また、サイエントロジーの書籍や講演を翻訳する職務を行っているスタッフも、辞書を使ったり、データを検索して調べるために、ネットの使用を許可されています。
それでも、シーオーグの組織内では、サイエントロジーに好意的でない情報を掲載しているWikipediaには、アクセスできないよう細工がされていました。
メールや手紙の検閲
外部から、サイエントロジーに否定的な情報が入り込まない様にするために、シーオーグ内に送られてくるメールや手紙は、担当者によって「検閲」されます。
その結果として、家族や友人からの手紙がメンバーに届かないということもあり得ます。
以上が、サイエントロジーのシーオーグについての概要になります。